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街の人情をめぐる銭湯秘話

北投「瀧乃湯」林佳慧 X 東京「小杉湯」平松祐介

テキスト / 楊雅筑
口述 / 林佳慧、平松佑介
撮影 / 剣持悠大、樹音
画像提供 / 林佳慧、平松佑介

浴室を持つ家はまだ少なかった昔、庶民はお風呂に入る時公衆浴場へ行くのが普通だった。時が流れ、各家庭に内風呂が普及することと共に、大衆浴場を利用する客が減り、浴場の経営も「斜陽産業」になりつつある。しかしそんな中、台湾と日本で入浴施設を営む若き経営者は面白いイベントの開催や、建物のリノベーションによって浴場に新しいイメージを与えた。台北にある北投三名湯の「瀧乃湯」と、東京高円寺の人気銭湯「小杉湯」がそういう新世代のお風呂文化を代表する二つの浴場である。

北投「瀧乃湯」を引き継いだ3代目

日本統治時代は軍人の療養用浴場で、70年の歴史も持つ北投「瀧乃湯」は1950年前後初代林添漢さんに買われ、営業し始めてから三代に渡り今は三姉妹で共同経営している。三人にとって、浴場の経営は「事業」よりも「家業」の感覚が強くて、瀧乃湯を引き継ぐことも抵抗なく当たり前なことだと思った。「うち三姉妹は子供の頃からここに住んでて、おばあちゃんと両親が浴場で働く姿を見ながら育ったから、いつか自分も瀧乃湯を継ぐのだろうと思った。私たちにとって、瀧乃湯はイコール『家族』だから、浴場の整備や維持をちゃんとしていかないと気持ちもモヤモヤするね。」瀧乃湯三代目の林佳慧曰く。

彼女達は瀧乃湯を継いでから、建築自体の老化に気が付いた。どんな形で改築すれば昔懐かしい浴場の姿を残せるかは一番の課題で、「瀧乃湯は昔からちょっとずつ改修されたことはあるけど、今回の改築は日本時代からあった男湯の湯船を残し、建築の構造も保存して遠い昔の瀧乃湯を再現したいと思う。」と林さんが言った。

日本統治時代創業の瀧乃湯、北投三名湯であり、地元民の交流の場でもある。(画像提供:林佳慧)

町の雑貨屋さんみたいな温かさ

北投で良く見かける近代的なホテルや温泉旅館と比べると、古き良き姿に生まれ変わった瀧乃湯は庶民的で親しみやすく、その雰囲気は和の風情が漂う北投の街とは実にピッタリ合うのだ。「別の温泉旅館を色んなサービスを提供するコンビニで例えると、瀧乃湯は雑貨屋みたいな存在だと思う。小さくて、サービスの種目も少なくて、でもこの街に住む人々との絆は深くて強い。」と林さんが微笑みを零しながらこう言った。瀧乃湯の常連さんは時々自家製野菜をお裾分けしてくれたり、いつも来てくれるお年寄りの方が何日か来てないと、三姉妹も心配して連絡を入れたりするという。 

瀧乃湯は町の雑貨屋さんみたいに親切で温かい。そして近所のみんなからの応援こそ、瀧乃湯が永く経営し続けられる秘密とも言えるでしょう。近年、瀧乃湯は台北市温泉発展協会のサポートで国際交流に参加するようになり、北投の温泉文化と歴史を広める機会も増えた。昔から人々を癒す温泉街である北投温泉を、瀧乃湯はこれからも温かく見守り続けていく。

林家三姉妹が浴場のリノベーションをする際、日本統治時代からあった男湯の湯船をそのまま残した。(画像提供:林佳慧)

林家三姉妹が浴場のリノベーションをする際、日本統治時代からあった男湯の湯船をそのまま残した。(画像提供:林佳慧)

林家三姉妹が浴場のリノベーションをする際、日本統治時代からあった男湯の湯船をそのまま残した。(画像提供:林佳慧)

林家三姉妹が浴場のリノベーションをする際、日本統治時代からあった男湯の湯船をそのまま残した。(画像提供:林佳慧)

イベント企画を通して、東京「小杉湯」と地元の絆を深める

東京高円寺にある銭湯「小杉湯」も瀧乃湯と同様に、地元の住民と深い絆が結ばれている。

1933年開業、神社仏閣みたいな見た目を持つ小杉湯は、東京の人にとっては大事な憩いの場。2016年、当時36歳の平松祐介は小杉湯を引き継いて三代目になり、小杉湯の新しいページを開いた。平松さんは前職で身に付けたマーケティングスキルと発信力を活かし、「銭湯ぐらし」プロジェクトを立ち上げ、ミュージシャン、建築家、編集者、デザイナーなど違う職種の人を招いて、銭湯の隣にあるアパートに入居し、アート展示会を開催したり音楽フェスを開いたり、若い人達の注目を集めた。

楽しい入浴時間を作ること、それが88年間変わらぬ小杉湯の使命

斬新で面白いイベントや企画が開催するようになったが、それは小杉湯を変える為のものでは無く、88年前創業以来の初心の延長線であると、平松さんは思ってる。音楽フェスや芸術祭なども平松さんが決めた事じゃ無く、小杉湯大好きのファン達の提案から生まれたアイデア。地元の人にとって銭湯は日常の一環で、お洒落なイベントより入浴する環境の快適さ、綺麗さ、そして雰囲気が一番大事。「やるべき事をちゃんとやったら、面白い事もついてくるよ。人々に心地よく入浴出来る環境を提供するのは僕たちの使命で、この思いは昔から変わっていないんです。」と平松さんが言った。

銭湯の経営には「シェアリングエコノミー」と「セルフサービス」がポイントで、銭湯自体の居心地良さと人々の繋がりを保つのが経営者の使命だと、平松さんは思う。「これからの小杉湯に絶えない生命力を吹き込む事は、僕たちの目標であり、チャレンジでもある。」平松さんは真摯の眼差しで語った。古い浴場に新たな生命力を与えたいのは平松さんだけでなく、新世代の浴場経営者の皆が成し遂げたい目標で、そしてその思いはきっとこれからの浴場とお風呂文化を支える大事な力になるのでしょう。

(画像提供 :平松佑介、撮影:剣持悠大、樹音)