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寺院の絵タイルが語る北投の物語

温泉郷のタイル史

テキスト / 康鍩錫
画像提供 / 康鍩錫、北投溫泉博物館

北投といえば、「温泉郷」や歓楽街があった頃の「温柔郷」というイメージを持つ人は多いが、実はここにはもう一つ有名な地域産業がありました。日本統治時代と戦後初期の北投は台湾の陶磁器生産の重鎮で、そしてその陶磁器産業実は地元の温泉業者と深い繋がりがありました。

北台湾の陶磁器の重鎮は、「温泉郷」から生まれた?

台湾の陶磁器の街と言えば「鶯歌」が一番有名ですが、清王朝時代から窯業を始めた北投の方が、当時一番規模の大きい陶磁器産地でした。かつての鶯歌では荒目の赤土で焼成した素朴な陶器を中心に生産していて、その後白磁の製造も始めたのですが、その白磁に使われた白土は北投の「大芳白粉廠」から来たものです。

北投は清の時代から窯業を始めたとは言え、その名を轟かせたのは日本統治時代からです。20世紀初頭、日本の生産技術を導入し「北投陶器所」を設立した、温泉旅館「松濤園」の初代松本亀太郎は北投温泉旅館の第一人者だけでなく、納涼祭の開催にも力を入れ、「北投焼の元祖」でもあります。

その後北投窯業株式会社と台湾窯業株式会社などの企業の努力で、北投焼の技術が日に日に進化し、緻密な品質、真っ白な胎土、色鮮やかな釉薬などが特徴です。主に食器とタイルと耐火レンガを生産していて、戦後国民政府が台湾に来た後も有名です。しかし食器よりタイルの生産利益が良い為、「北投窯業株式会社」の場合、生産コストの低い「北投タイル」が徐々に主力商品になりました。

日本統治時代に建てられた総統府や司法院、中山堂と台北郵便局、そして台湾大学法学院などの外壁には、今でも「北投タイル」の姿が見えます。しかし残念な事で環境や地域の変遷と共に、かつて有名だった北投の陶磁器産業も時代の流れに消えていきました。

北投福安宮の《加冠進禄》と《招財進宝》、かつて北投窯業の繁盛の象徴。
(画像提供:康鍩錫)

(画像提供:北投溫泉博物館)

立ち上る線香の細き煙と共に寺院に身を置く「北投タイル」

産業が消えて無くなっても、「北投タイル」の姿は今でも健在です。実は多くの北投タイルはひっそりと北投の寺院に身を置き、日々立ち上る線香の煙と共に北投の歴史と変化を見守ってきました。

戦後、北台湾の寺院は改築や増築で絵タイルの需要が増えて、その絵タイルを制作する絵師のほとんどが北投の陶磁器会社から転職してきた職人です。

台湾ではお馴染みの「八仙」、「二十四孝」、「三国志」などの題材の描かれた量産型の彩色磁器はあんまり見かけないが、手描きの絵タイルだと絵師たちの繊細な筆使いにより綺麗に表現出来ます。絵のテーマは歴史と物語のほかに、牡丹や梅などの花模様、カササギや鶴や鳳凰と龍などの縁起のいい動物、そして文字の書かれたタイルもあります。

北投の寺院に飾られてる絵タイルと言えば、王正雄さんが1979年に創立した「力固企業株式会社」が有名です。王さんが自分の会社を作る前に、他の陶磁器会社で働いた事があり、その職歴から手描き釉薬や墓石の装飾、シルクスクリーン技術などを身に付けました。開業後はその技術を寺院の絵タイル制作に活かして、色んな絵タイル作品を北台湾の寺院に残しました。

北投鎮安宮では、花鳥や三国志をテーマにした絵タイル壁画と転写タイルが見える。
(画像提供:康鍩錫)

北投鎮安宮では、花鳥や三国志をテーマにした絵タイル壁画と転写タイルが見える。 (画像提供:康鍩錫)

北投桃源福徳祠本殿にある壁画は「忠義と孝行」の物語を中心に飾れている。
(画像提供:康鍩錫)

北投桃源福徳祠本殿にある壁画は「忠義と孝行」の物語を中心に飾れている。 (画像提供:康鍩錫)

北投集応廟の壁面には繊細なタッチで描かれた《群仙祝寿》。
(画像提供:康鍩錫)

北投集応廟の壁面には繊細なタッチで描かれた《群仙祝寿》。 (画像提供:康鍩錫)

現在、北投桃源福徳祠の壁面と天井に、美しき《八仙》、《金玉満堂》、《祈求吉慶武将》、《公冶長能解解鳥語》、《贈馬賜袍》の絵タイルがあり、北投鎮安宮では《節孝故事》、《祥龍伏虎》、《普渡四海》、《山水花鳥》など、そして北投集応廟の《群仙祝寿》、《富貴寿考》、《八鎚大戦陸文龍》、《麒麟》なども全て「力固企業」の作品です。

ホテルから御奉納する絵タイルは、地元企業の強い絆

北投の温泉産業と陶磁器産業の関わりは日本統治時代の「北投陶器所」だけでなく、その深い関係は戦後までも続いていました。なぜかと言う、多くの温泉業者は商売繁盛の祈願で地元北投の寺院にお参りして、願い通りに繁盛してたらまたそのお礼として、絵タイルを寺院に奉納する習慣があります。一番有名なのは北投磺港後福安宮の本殿、拝殿、舞台と天井に《八仙鬧東海》、《瑤池献寿》、《加冠進祿》、《招財進宝》、《天女散花》などの作品が飾られていて、その絵タイル達を寄進したのは地元の「北投大飯店」、「美楽荘大飯店」、「新哖荘大旅社」、「龍門大飯店」、「松林大飯店」などの宿泊施設です。寄進された多くの絵タイルを見れば、当時北投の繁盛ぶりと地元の温泉業と陶磁器産業の深い絆がすぐ分かります。 

今度北投温泉に訪ねることがあれば、地元の寺院仏閣にも是非行ってみて下さい。何故なら、そこにある素敵な絵タイルには人物や花鳥だけでなく、地元北投の歴史と文化もくっきりと描かれていますから。

福安宮の絵タイルの中では、一番有名なのは大サイズの《八仙鬧東海》。
(画像提供:康鍩錫)

福安宮の絵タイルの中では、一番有名なのは大サイズの《八仙鬧東海》。 (画像提供:康鍩錫)

北投福安宮の壁面に当時絵タイルを寄進した宿泊施設が書かれてある。
(画像提供:康鍩錫)

北投福安宮の壁面に当時絵タイルを寄進した宿泊施設が書かれてある。 (画像提供:康鍩錫)